現役高校教師(情報科)の授業ノート

第3回情報教育研究会「クラウドサービスの活用と学校教育」で情報教育のトレンドに触れてきた

今日は、情報教育研究会のセミナーに参加してきた。

– 研究会・研修会 – 情報教育研究会
http://www.infoedu.jp/htdocs/?page_id=63

今回のテーマは「クラウドサービスの活用と学校教育」だった。
アジェンダは以下

【内容】
1.実践報告 13:20から
(1)情報科で実現するキャリア教育の実践事例 TwicePlan 森様
(2)教育現場におけるクラウドの利用 広尾学園 木村健太先生
(3)日本のICT教育を世界レベルに  広尾学園 金子暁先生
2.企業展示(募集中) 14:50から
3.講演 15:10から
題目:『Google Apps for Educationの活用とこれからの学校教育(仮)』
内容:Googleが考える未来の教育のビジョン
講演者:グーグル株式会社 エンタープライズ部門 Google Apps Education Specialist 菊池 裕史 様

広尾学園は、
– 「広尾学園×iPad×ICT教育」カンファレンス2013
http://hirogaku.jp/ict/2013/
– 「エバーノート井上健氏講演」
http://www.hiroogakuen.jp/weblog/archives/19738
といったカンファレンスや講演会を校内で実施するようなICT教育に関して積極的な学校だ。
前々から興味を持っていた学校の話しが聞けるということでとても期待していた。

内容は、期待を超えていた。

では今回の内容について書き留めておく。

(2)教育現場におけるクラウドの利用 広尾学園 木村健太先生
まず、この木村先生、先生らしくない。
どこかの企業の営業や企画を担当していそうな雰囲気。
医進・サイエンスコースのマネージャーをされているそうで、担当教科を名乗らなかったことから、広尾学園の教員体制が想像できる。
そもそも同じ土俵にいないな、というのが開始10秒で判断つく。

学内/コースでは、「研究活動/授業/高大産学連携」を三本柱として取り組んでいるとのこと。
この際に、ICTや英語はあくまでもツールという位置づけていた。
「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」という意識を持って取り組んでいた。
レベルが違う。

そんな流れで、学校の紹介とコースの紹介が一通り済んだら、広尾学園の生徒2名が壇上で話しを始めた。
素晴らしい。
高校二年生が多くの大人の前で堂々と自分たちのやっていることを紹介している。
普段からプレゼンをこなしているんだろうと想像できる。

在校生の話しの内容は、学校で使っているGoogleAppsとiPadアプリの紹介だった。
これがまた素晴らしい。
教員が利用環境を整えたら、使い方に関しての説明は一切なく、自分たちで調べながら慣れ親しみ、課題に取り組む。
使っているのは
・Gmail/Googleグループ
・Googleドライブ
・Googleカレンダー
・Dropbox
といったサービスで、その他アプリの紹介では「Good Notes」や「SoundNote」や「GoodReader」が挙げられていた。
GoogleDocsのスプレッドシートやフォーム機能の活用事例としては、実験の記録や小テストとして紹介されていたのはとても参考になった。
Googleカレンダーでは、学校の行事/コースの行事/自分の予定/グループメンバの予定を共有しているとのことで、ここまで使いこなせるものなのかと関心。
特に、GoogleカレンダーやGmailからGTasksへとタスクを登録し、グループ内でタスクを管理共有して、自分の頭は考えることに使え、という方針を高校生に伝えていた点が気になった。まだ早いんじゃないかという意味で。

(3)日本のICT教育を世界レベルに  広尾学園 金子暁先生

広尾学園では「One to One」(一人一台の情報端末)を目指してきて、2014年で遂に全員に行き渡るとのこと。
後は、色々なカンファレンスの紹介だった。
とても記憶に残ったのは、設備投資のかけどころ。
欧米?海外?の学校が現在勝ち組と負け組のどちらに属しているのか、という分かれ目の紹介として、設備投資のかけどころが紹介されていた。
勝ち組は、校内のWifiといった目に見えてこないインフラ整備にお金をかけ、負け組は、目に見えやすいICT機器の充実にお金をかけていたとのこと。
紹介されていたコルベカレッジでは、校内の「全敷地」でWifiが通じていたらしい。「全敷地」とはグラウンドといった広大な敷地全てで。

これは自分の取り組みが正しいことが証明されたととても嬉しく思った。
早いところ今の職場のネットワークをキレイにしないと大変なことになると何度も警告しているのにな。

そして、質疑の中でとても面白い話しがあった。
「教員のリテラシーの格差是正は何か行っているのか」という質問。
回答は、「一切行っていない。サイボウズを全員が使っていたこともあってか、問題なかった。」
本来、こうあるべきだと思う。

(講演)『Google Apps for Educationの活用とこれからの学校教育』

Googleという会社の紹介から始まり、教育のトレンドについて、Googleと教育、といったテーマで話しが進んだ。
内容としては、それぞれのテーマに沿って色々なGoogleのプロダクトや、Google以外の教育関係のサービスの紹介だった。

単体では全て知ってる話しだったが、それぞれの関係や経緯、目的などは初めて知ることもあり、参考になった。
特にオープンバッジという取り組みはとても先見性があるんだなぁと。

海外に目を向けると、アクティブラーニングというのが注目を浴びていて、教室の構成もこの形式に合わせたものに変わってきているらしい。
取り組むにはなかなかハードルが多いが、是非是非取り組んでいきたいものだ。

Google Apps for Education。
無料なのですぐに始めたいが、付与されるドメインがどうなるのか気になり手がつかない。
いつ手をつけたものか。

Google Appsを導入するにあたってのセキュリティの話しがとても興味深かった。
一つは、「大金は自宅のタンスにしまうのか、銀行に預けるのか」という問いかけ。
もう一つは、以下の「Google Apps のセキュリティ概要」という動画

2分程度だけど、クラウドサービスのセキュリティ面のメリットがうまく表現できている。

GoogleApps。本格的に検討するには上記の動画などを交えながら、啓蒙活動をしてみるか。

で、最後、Googleハングアウトのデモンストレーションで、Googleの社員の方と実際にテレビ会議をしてくれた。
相手はGoogleジャパンのオフィスで、六本木ヒルズの27階にいると言っていた。
「六本木ヒルズの27階」か。
なんだかここがとても記憶に残ってしまった。

3時間半程度のセミナーだったけど、あっと言う間に終わってしまったという印象。
そして自分の勉強不足や、必要な環境整備といったところが浮き彫りになった。
何か手をつけたものか。
悩ましいが、モチベーションはとても上がった。

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